計算生物学:プログラム可能な生成モデルを使ってタンパク質空間を解明する
Nature 623, 7989 doi: 10.1038/s41586-023-06728-8
タンパク質分子の驚異的な多様性は30億年の進化の間に作り出されたものだが、タンパク質が持つ全潜在能力はそれよりずっと大きい可能性が高い。このような能力の解明に立ち向かうのは計算と実験のどちらにとっても非常な難問だが、それは存在し得るタンパク質分子からなる空間は、機能を持つと予想されるタンパク質からなる空間の大きさをはるかに超えているからである。本論文で我々は、タンパク質とタンパク質複合体の生成モデルであるChromaについて報告する。Chromaは、新規なタンパク質の構造と配列を直接サンプリングして、その生成過程が望ましい特性や機能の方向に進むように条件付け、調整することができる。こうしたことを可能にするために、ポリマー集合体のコンホメーションの統計データを考慮した拡散過程、サブ二次スケーリングによる長距離にわたる推論を可能にする分子システムのための効率的なニューラルアーキテクチャー、残基間の予測された幾何学的配置からタンパク質の三次元構造を効率よく合成するためのレイヤー、拡散モデルのための一般的な低温サンプリングアルゴリズムを導入した。Chromaは、対称性、下部構造、形態、セマンティクス、さらには自然言語プロンプトまでが含まれ得る外部制約の下で、ベイズ推論としてのタンパク質設計を達成する。310のタンパク質の実験による特性付けによって、Chromaからのサンプリングによって、高度に発現され、折りたたまれ、望ましい生物物理学的特性を持つタンパク質が得られることが分かった。設計された2個のタンパク質の結晶構造は、Chromaサンプルと原子レベルでよく一致した(骨格の二乗平均平方根の偏差が1.0 Å)。タンパク質設計のためのこの統一的方法によって、ヒトの健康、材料科学や合成生物学に役立つタンパク質関連物質のプログラミングが加速されると我々は期待する。

