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構造生物学:ヒトVMAT2での神経伝達物質の輸送と薬物阻害の機構

Nature 623, 7989 doi: 10.1038/s41586-023-06727-9

ドーパミンやセロトニンのようなモノアミン神経伝達物質は、運動、睡眠、報酬、気分などが関わる重要な脳経路を支配している。モノアミン作動性回路の機能不全は、多様な神経変性疾患や精神神経疾患に関係しているとされてきた。小胞モノアミン輸送体(VMAT)は、シナプスでの放出に備えてモノアミンを小胞に取り込んでいて、神経伝達に不可欠である。VMATはまた、多数の疾患で治療薬の標的になっている。このような重要性にもかかわらず、VMATの基質輸送また薬物による阻害の機構は解明されていなかった。今回我々は、ヒト小胞モノアミン輸送体VMAT2について、抗舞踏運動薬テトラベナジン、抗高血圧薬レセルピン、または基質であるセロトニンと複合体を形成した状態のクライオ電子顕微鏡構造を報告する。意外にも、これら2つの薬剤は全く異なる阻害機構を使っている。テトラベナジンは内腔側に向いたコンホメーションをとるようにVMAT2に結合し、内腔の開閉に関わる蓋を閉じた状態にロックして輸送サイクルを停止させている。これとは対照的に、レセルピンは細胞質側に向いたコンホメーションとなるようVMAT2に結合し、前庭部分を広げて基質の接近を阻害している。VMAT2の構造学的解析からはまた、輸送体の異性化に続くコンホメーション変化が明らかになった。この変化は小胞内への基質輸送を促進する。これらの知見は、シナプス小胞輸送体による神経伝達物質の詰め込みの生理学的性質と薬理学的性質を理解するための構造学的枠組みを提供するものだ。

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