Article
物性物理学:魔法角ツイスト3層グラフェンにおけるバレー間コヒーレント秩序の画像化
Nature 623, 7989 doi: 10.1038/s41586-023-06663-8
魔法角ツイスト3層グラフェン(MATTG)は、その根底にある対称性を自発的に破るさまざまな強相関電子相を示す。今回我々は、走査型トンネル顕微鏡を用いてMATTGの相関相を調べ、相互作用に駆動される空間対称性の破れの特徴的な性質を特定した。我々は、低ひずみ試料において、モアレ単位胞当たり約2個から3個の電子または正孔の充填範囲にわたって、トンネルスペクトルに相関ギャップを伴う、原子スケールでのグラフェン格子の再構成像を観測した。この短いスケールでの再構成像は、電子間の自発的なバレー間コヒーレンスを示唆するケクレ・スーパーセルとして現れ、ギャップの発現と一致する広い範囲の磁場と温度で持続した。さらに、数個のモアレ単位胞を対象範囲として含む大面積マップから、ケクレパターンのゆっくりとした変化が明らかになり、原子スケールの再構成像が、はるかに長いモアレスケールで並進対称性の破れと共存していることが示された。我々は、自己相関解析とフーリエ解析を用いてこれらの相の固有周期性を抽出し、理論的に提唱されている非整合ケクレらせん秩序とこれらの相が整合することを見いだした。我々はまた、モアレスケールの変調を特徴付ける波長が、正孔ドーピングに伴ってバンドの半充填から離れるにつれて単調減少し、磁場に対して弱い依存性を持つことも見いだした。今回の結果から、ひずみの存在下でのMATTGの相関相の性質に関する本質的な知見が得られ、バレー間のコヒーレントな親状態から超伝導が出現し得ることが示された。

