神経科学:カムフラージュ中のコウイカにおけるパターン照合のダイナミクス
Nature 619, 7968 doi: 10.1038/s41586-023-06259-2
多くの頭足類は、カムフラージュを使って、見つかるのを回避している。この行動は、周囲の視覚評価、視覚的質感の統計的な解釈、脳内の運動ニューロンにより制御される数百万の皮膚色素胞を用いたこれらの情報の照合に依存している。コウイカの画像解析からは、カムフラージュのパターンは低次元であり、わずかな種類の構成要素から構築される3つのパターン群に分類されることが提唱されている。行動実験では、カムフラージュには視覚が必要だが、その実行にフィードバックは不要であることが示されており、これは、皮膚パターン空間内での動きが定型的で、修正の可能性がないことを示唆している。今回我々は、定量的手法を用い、ヨーロッパコウイカ(Sepia officinalis)で、皮膚パターン空間において背景照合に向かう行動運動としてのカムフラージュを調べた。自然の背景と人工的な背景での数十万枚の画像の解析によって、皮膚パターン空間は高次元であり、パターン照合は定型的ではなく、それぞれの検索は皮膚パターン空間内を蛇行し、安定するまで減速と加速を繰り返すことが明らかになった。色素胞は、カムフラージュ中のそうした共変動に基づいて、異なるパターン構成要素に分類可能であった。これらの要素は、形状やサイズが多様で、互いに重なりがある。しかし、それらのアイデンティティーは同一の皮膚パターン対間の移行においても異なっており、これは、カムフラージュの実行が柔軟で、定型はないことを示している。構成要素はまた、空間的振動数に対する感度によっても分類できた。さらに我々は、カムフラージュを、脅威刺激に対して皮膚の色を明るくする反応である白化と比較した。白化の際のパターン運動は直接的かつ高速で、これは、低次元のパターン空間における開ループ運動と一致しており、カムフラージュ中に観察されるパターン運動とは対照的だった。

