医学研究:1型および3型のポリオウイルスに対する経口弱毒ワクチンの遺伝的安定化
Nature 619, 7968 doi: 10.1038/s41586-023-06212-3
ポリオウイルス・セービン株を用いた弱毒化経口生ポリオワクチン(OPV)の接種は、ロバストな腸管免疫や体液性免疫を引き起こすため、ポリオを抑制するカギとなってきた。どのRNAウイルスとも同様に、OPVは急速に進化して、毒力の再獲得に重要な弱毒決定因子を失い、その結果、ワクチン由来で毒力を持つポリオウイルス変異株が生じる。これらの変異株が免疫を十分獲得していない集団内で循環すると、より高い伝播能を持つ循環型ワクチン由来ポリオウイルス(cVDPV)のさらなる進化につながり、ポリオ再出現の重大なリスクとなる。新型OPV2型(nOPV2)は、遺伝的安定性と免疫原性についての臨床データが有望であり、最近、cVDPVのアウトブレイク(集団発生)への対応として、世界保健機関(WHO)から使用が承認された。今回我々は、1型および3型のポリオウイルスに対する2つの追加の弱毒化生ワクチン候補を開発したことを報告する。これらの候補ウイルスは、nOPV2のキャプシドをコードする領域を、1型あるいは3型のセービン株のキャプシドコード領域で置き換えることで作製された。これらのキメラウイルスは、nOPV2と同様の増殖表現型と、親株のセービン株に匹敵する免疫原性を示すが、より弱毒化されている。マウスでの実験と高深度塩基配列解読解析から、これらの候補ウイルスは、弱毒状態を保持し、ウイルス進化促進後の遺伝的安定性については、報告されているnOPV2の全ての特性を保持していることが確認された。重要なことに、これらのワクチン候補は、マウスにおいて、一価製剤および多価製剤として高い免疫原性を持っており、ポリオウイルスの根絶に貢献する可能性がある。

