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発生生物学:モザイクの皮膚では損傷によってRas変異型細胞の増殖が妨げられる
Nature 619, 7968 doi: 10.1038/s41586-023-06198-y
健康な皮膚は野生型クローンと変異型クローンのモザイクである。損傷は、変異したRasファミリータンパク質と協調して腫瘍形成を促進し得るが、遺伝的モザイクの皮膚における損傷の影響は分かっていない。今回我々は、野生型細胞が、損傷後に発がん性Rasによって誘導される異常な増殖を抑制することを示す。HrasG12V/+細胞およびKrasG12D/+細胞は、損傷を受けていないモザイク組織では野生型細胞との競合に勝つが、こうした増殖は、損傷後には、増殖する野生型細胞の割合が増加するために妨げられた。機構的には、野生型細胞はHrasG12V/+細胞とは異なり、EGFRリガンドのオートクリンおよびパラクリンの分泌に応答し、また、このEGFR経路の活性化の差によって、損傷修復中に起こる競合の切り替えが説明される。薬剤手法あるいは遺伝学的手法によりEGFRシグナル伝達を阻害すると、損傷後に分裂する野生型細胞の割合が減少し、HrasG12V/+細胞の増殖につながった。また、細胞周期抑制因子p21の構成的喪失により野生型細胞の増殖を増強すると、損傷がない場合でもHrasG12V/+細胞の増殖が妨げられた。従って、損傷は、遺伝的モザイクの皮膚で、発がん性細胞と野生型細胞の間の競合のバランスを切り替える役割を担っている。

