細胞生物学:切断が誘導する複製が切除に依存した鋳型切り換えを調整する
Nature 619, 7968 doi: 10.1038/s41586-023-06177-3
切断が誘導するテロメア合成(BITS)はRAD51に依存しない切断誘導性複製の一種で、テロメアの代替伸長(alternative lengthening of telomere)の一因である。この相同組換えに基づく修復機構では、増殖細胞核抗原(PCNA)とDNAポリメラーゼδからなる最小規模のレプリソームを用いて、数キロ塩基を超える保存的なDNA修復合成が行われる。この長距離にわたる相同組換え修復合成が、複製ストレスを誘発する複雑なDNA二次構造にどのような仕組みで応答するかは、まだ解明されていない。また、切断によって誘導されたレプリソームが処理能力を確保するために他のDNA修復事象を調整するかどうかも不明である。今回我々は、BITSを行っている際のテロメアDNA損傷応答のプロテオームを捉えるために、同時二本鎖切断の誘導とPICh(proteomics of isolated chromatin segments)とを組み合わせて使用した。この方法によって、複製ストレスが支配する応答が明らかになった。この応答は、RAD18依存性のPCNAユビキチン化を介した修復合成を原動力とするDNA損傷許容のシグナル伝達を特徴とする。さらに、SNM1Aヌクレアーゼが、ユビキチン化PCNAに依存したDNA損傷許容に関わる主なエフェクターであることが突き止められた。SNM1Aは損傷を受けたテロメア部位のユビキチン修飾された切断誘導性レプリソームを認識し、それによってヌクレアーゼ活性が誘発され、切除を促進する。これらの知見から、哺乳類細胞では、切断誘導性複製が切除に依存した損傷迂回を調整し、SNM1Aヌクレアーゼ活性がユビキチン化PCNAの誘導による組換えの重要なエフェクターとなることが明らかになった。

