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細胞生物学:核構造の異常から生じる遺伝性の転写異常
Nature 619, 7968 doi: 10.1038/s41586-023-06157-7
クロマチンのエピジェネティックな状態の可塑性が原因で生じる転写の不均一性は、腫瘍の進化、転移、薬剤抵抗性の一因となっている。しかし、このエピジェネティックな変動を引き起こす機構は完全には解明されていない。今回我々は、核の異常で、がんで一般的に見られる微小核と染色体橋が、遺伝性の転写抑制を引き起こす原因であることを明らかにする。長時間にわたるライブセル画像化、同一細胞の単一細胞RNA塩基配列解読(Look-Seq2)を含む複数の方法を組み合わせることにより、微小核由来の染色体では遺伝子発現が低下していることが判明した。遺伝子発現のこのような変化は、浸透率はさまざまだが、微小核由来の染色体が娘細胞の正常な核へと再び取り込まれた後にも遺伝し得る。同時に、微小核の染色体は、異常なエピジェネティッククロマチン標識を獲得する。これらの異常は、単一細胞からのクローン増殖後にも、クロマチンアクセシビリティーのさまざまな程度の低下や遺伝子発現の低下として持続する可能性がある。持続的な転写抑制は、著しく長寿命のDNA損傷と強く関連しており、また、これによって説明できるかもしれない。従って、転写におけるエピジェネティックな変化は、染色体不安定性や核の構造異常と本質的に結び付いている可能性がある。

