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がん:汎KRAS阻害剤は発がん性シグナル伝達と腫瘍増殖を無効化する
Nature 619, 7968 doi: 10.1038/s41586-023-06123-3
KRASはがんで最も多く変異が見られるタンパク質の1つであり、その機能を直接阻害する試みは数十年にわたって続けられてきた。その中で最も成功を収めているのは、KRAS G12Cを不活性なコンホメーションにとどめ、患者での腫瘍増殖を抑制する、対立遺伝子特異的な共有結合阻害剤の開発である。不活性状態選択的な阻害が、G12C KRAS以外の変異体を標的とする治療にも使用できるかどうかはまだ研究が続けられている。今回我々は、不活性状態のKRASに優先的に高い親和性で結合するが、NRASとHRASには結合しない、非共有結合阻害剤の発見と特性解析について報告する。RASアイソフォーム間のGTPアーゼドメイン内の進化的相違は数アミノ酸しかないにもかかわらず、KRAS選択性にオルソステリックおよびアロステリックな制約をもたらすのに十分だった。この阻害剤は、ヌクレオチド交換を阻害して、野生型KRASと広範なKRAS変異(G12A/C/D/F/V/S、G13C/D、V14I、L19F、Q22K、D33E、Q61H、K117NおよびA146V/T)の活性化を妨げる。下流のシグナル伝達と増殖の阻害は、変異型KRASを有するがん細胞に限られており、マウスでの薬物治療は、体重に悪影響を与えることなくKRAS変異型腫瘍の増殖を抑制した。我々の研究は、がん細胞では、ほとんどのKRASがんタンパク質が活性状態と不活性状態の間を循環しており、活性化はヌクレオチド交換に依存していることを示唆している。今回報告したような汎KRAS阻害剤には、幅広い治療的意義があり、KRAS駆動型がん患者での臨床研究を行う価値がある。

