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物性物理学:イジング超伝導体における軌道フルデ–フェレル–ラーキン–オフチンニコフ状態

Nature 619, 7968 doi: 10.1038/s41586-023-05967-z

時間対称性と反転対称性の両方を持つ超伝導体では、外部磁場のゼーマン効果によって時間反転対称性が破れることがあり、これによって、有限運動量を伴うクーパー対形成を特徴とする従来型のフルデ–フェレル–ラーキン–オフチンニコフ(FFLO:Fulde–Ferrell–Larkin–Ovchinnikov)状態が形成される。(局所的な)反転対称性のない超伝導体でも、ゼーマン効果は、スピン–軌道結合(SOC)との相互作用によってFFLO状態の基礎的機構として働く可能性がある。具体的には、ゼーマン効果とラシュバSOCの協奏によって、相図のより広い領域をカバーする、より実現しやすいラシュバFFLO状態が形成され得る。しかし、イジング型SOCの存在下でスピンロッキングのためにゼーマン効果が抑制されると、従来型のFFLOシナリオはもはや有効ではなくなる。その代わり、磁場の軌道効果とSOCの結合によって非従来型のFFLO状態が形成され、これにより、反転対称性の破れた超伝導体における代替機構が得られる。今回我々は、多層イジング超伝導体2H-NbSe2において、こうした軌道FFLO状態を発見したことを報告する。輸送測定から、軌道FFLO状態において並進対称性と回転対称性が破れていることが示され、有限運動量のクーパー対形成の特徴的な痕跡が得られた。我々は、常伝導金属、一様なイジング超伝導相、6回対称異方性を示す軌道FFLO状態からなる、完全な軌道FFLO相図を作成した。今回の研究は、有限運動量超伝導が実現される別の経路を浮き彫りにしており、反転対称性の破れた類似物質において軌道FFLO状態を作る普遍的な機構を与えるものである。

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