微生物学:細菌のcGASによるユビキチン様結合は抗ファージ防御を増強する
Nature 616, 7956 doi: 10.1038/s41586-023-05862-7
cGASは進化的に保存された酵素で、感染に対する免疫防御に重要な役割を担っている。脊椎動物では、cGASはDNAによって活性化されてサイクリックGMP–AMP(cGAMP)を産生し、これが抗微生物遺伝子の発現を誘導する。細菌では、サイクリックジヌクレオチド(CDN)に基づく抗ファージシグナル伝達系(CBASS)が発見されている。CBASSはcGAS様酵素とさまざまなエフェクタータンパク質から構成され、これらはファージの感染時に細菌を殺し、それによってファージの拡散を抑えている。これまでに報告されているCBASS系の約39%にはCap2とCap3が含まれており、これらはそれぞれ、ユビキチン結合酵素(E1/E2)とユビキチン切断酵素と相同性のあるタンパク質をコードしている。これらのタンパク質は、一部のバクテリオファージの感染を防ぐために必要だが、そうした酵素活性が抗ファージ効果を発揮する機構は知られていない。今回我々は、Cap2がcGASのC末端のグリシンとチオエステル結合を形成し、ユビキチン結合と類似した過程において、cGASの標的タンパク質への結合を促進することを示す。cGASの共有結合はcGAMPの産生を増加させる。我々は、遺伝的スクリーニングを用い、ファージタンパク質であるVs.4は、cGAMPと強く結合して(解離定数は約30 nM)cGAMPを隔離することによって、cGASシグナル伝達に拮抗することを見いだした。cGAMPに結合したVs.4の結晶構造からは、Vs.4が六量体を形成し、3分子のcGAMPと結合していることが分かった。これらの結果は、細菌でのcGAS活性を調節するユビキチン様結合の機構を明らかにするとともに、CDNレベルの制御を介した細菌とウイルス間の軍拡競争を示している。

