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構造生物学:タコでの感覚受容器の進化の構造基盤
Nature 616, 7956 doi: 10.1038/s41586-023-05822-1
化学触覚受容体(CR)は頭足類特異的な新機軸で、タコはこの方法を使って「触ることで味を知って」海底を調べることができる。CRはニコチン性アセチルコリン受容体から分岐した受容体で、海洋環境中では容易に拡散しない不溶性分子の接触による感知に関わっている。今回我々は、タコのCRを用いて、感覚受容器の進化の構造基盤を調べた。まずタコCRのクライオ電子顕微鏡構造を明らかにし、これをニコチン受容体と比較して、環境の感知を可能にしている特徴を神経伝達と対比して決定した。進化と構造の解析、生物物理学的解析から、陽イオン透過とシグナル伝達に関わるチャネル構造が保存されていることが分かった。これに対して、オルソステリックリガンドの結合部位は多様化選択を受けており、新しい分子の検出に関与している。クライオ電子顕微鏡構造から思いがけず得られた知見によって、タコCRのリガンド結合ポケットは非常に疎水性が高く、そのため、カノニカルな神経伝達物質受容体が検出する小型の極性分子とは対照的な、脂肪分の多い化合物を知覚することが可能である。これらの知見によって、原子レベルでの進化的適応と生物の新しい行動の出現との結び付きを理解するための構造的枠組みが得られた。

