地球科学:地球の核–マントル境界における核起源の地震波速度異常
Nature 615, 7953 doi: 10.1038/s41586-023-05713-5
地震学的研究によって、超低速度帯(ULVZ)や核剛性帯などの微細異常構造が核–マントル境界(CMB)に見いだされている。ULVZはマントルに関連した過程が原因と考えられているが、核が起源である可能性についてはほとんど分かっていない。外核における軽元素の析出によって核剛性帯が説明されると提案されているが、どの過程がそうした析出をもたらし得るかについては、まだよく分かっていない。また、その外核における重要性にもかかわらず、関連する温度圧力条件におけるFe–Si–Hの融解の振る舞いもよく分かっていない。本論文で我々は、レーザー加熱ダイヤモンドアンビルセルを用い、水素の存在下で融解したFe–9wt%SiからのB2 FeSiの結晶化を、最大125 GPaと3700 Kの条件で観察した結果を報告する。水素は、B2結晶中のSi濃度をSi:Fe ≈ 1のモル比まで劇的に増加させるが、その大半は共存するFe液体にとどまっている。B2相の高いSi含有量によって、外核最上部の温度において固体の形態が安定になり、周囲の液体より密度が小さくなる。その結果、Siに富む微結晶が形成されて浮き上がり、CMB境界の下側に堆積して、核側の剛性異常が十分に説明される。少量のFeSi結晶がマントルに取り込まれ得るとすれば、CMBの上に密度の高い低速度構造が形成され、ULVZの一部を説明できる可能性がある。外核最上部においてHが促進するB2 FeSiの析出によって、CMBにおける2種類の異常に対して単一の核由来の起源が得られる。こうしたシナリオは、析出物と平衡になった物質が、ULVZとつながったマントルプリュームによって最上部マントルに運ばれた後での、海洋島玄武岩のタングステン同位体の核に似た特徴も説明できる可能性がある。

