Article

コロナウイルス:コロナウイルスは複製に宿主のシステイン-アスパラギン酸プロテアーゼを利用する

Nature 609, 7928 doi: 10.1038/s41586-022-05148-4

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、SARS-CoV-1などの高病原性コロナウイルスは、伝播性や病原性の点で異なる。しかし、細胞培養や患者組織におけるこれら3種類のウイルスによる感染は著しいアポトーシスを引き起こすことから、アポトーシスとコロナウイルスの病因が関連している可能性が示唆される。今回我々は、アポトーシスカスケードのシステイン-アスパラギン酸プロテアーゼの1つであるカスパーゼ-6がコロナウイルスの効率的な複製に重要な宿主因子として働くことを示す。カスパーゼ-6はコロナウイルスのヌクレオキャプシドタンパク質を切断して、インターフェロンアンタゴニストとして働く断片を生成し、ウイルス複製を促進することが明らかになった。カスパーゼ-6を阻害すると、SARS-CoV-2に感染したシリアンハムスター(ゴールデンハムスター)の肺病変や体重減少が大幅に抑制され、マウス馴化MERS-CoVに感染させたヒトDPP4発現マウスの生存が改善された。我々の研究は、コロナウイルスが宿主のアポトーシスカスケードの構成因子を利用して、ウイルス複製を促進する仕組みを明らかにしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度