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進化学:動物と菌類の起源をさかのぼるゲノムの異なる軌跡
Nature 609, 7928 doi: 10.1038/s41586-022-05110-4
動物と菌類の形態は根本的に異なるが、両者は、オピストコンタという同じ真核生物の巨大系統群内で進化した。今回我々は、オピストコンタの系統発生で極めて重要な位置を占める4例の新規ゲノムを含むデータセットを用い、オピストコンタの分岐以降の、後生動物と菌類の出現に伴う遺伝的変化の軌跡を再構築した。その結果、動物が、その多細胞性に機能的に重要な遺伝子の蓄積後に初めて出現したこと、そして、この傾向は後生動物以前の祖先で始まり、後に後生動物の基部で加速したことが明らかになった。これに対し、菌類以前の祖先は、大半の機能カテゴリーの純減を経験しており、こうしたカテゴリーには後生動物への進化の道筋で獲得されたものも含まれていた。幅広い機能レベルにおいて、菌類ゲノムは後生動物の遺伝子レパートリーと比べ、含まれる代謝遺伝子の比率が高く、オピストコンタの最終共通祖先からの乖離はより小さかった。後生動物と菌類では、遺伝子獲得機構にも相違が見られた。後生動物では遺伝子融合がより多く見られる一方、菌類および原生生物では遺伝子獲得の大部分が水平伝播として検出された。これは、後生動物では生殖細胞系列の隔離のために伝播の重要性が低いと見る長年の考え方と一致する。総合すると今回の結果は、動物と菌類が、それぞれの起源をさかのぼる、2つの対照的な遺伝的変化の軌跡の下で進化したことを示している。従って、明確に分化した2つのゲノム環境の漸進的確立が、後生動物と菌類が出現するための舞台を整えたと考えられる。

