システム生物学:ヒト免疫系の物理的な配線図
Nature 608, 7922 doi: 10.1038/s41586-022-05028-x
ヒトの免疫系は、全身を循環する細胞の分散型ネットワークで構成されている。この中で細胞は動的に物理的関連を形成し、細胞表面プロテオーム間の相互作用を用いてコミュニケーションを行わなければならない。こうした細胞表面相互作用は治療可能性を持つにもかかわらず、そうした相互作用についての地図はいまだ不完全である。今回我々は、ハイスループットな表面受容体スクリーニング法を用いて、ヒト白血球上で検出可能な表面タンパク質の大半を網羅した組換えライブラリーにわたり、タンパク質の直接相互作用を系統的にマッピングした。それぞれの新規な相互作用の生物物理学的パラメーターを独立に検証および決定した結果、ヒト免疫細胞を接続する受容体配線について、信頼性の高い定量的な一覧が得られた。我々は、このインタラクトームを発現データと統合することにより、免疫相互作用動態の傾向を突き止め、基本原理から細胞の接続を予測する還元主義的数理モデルを構築した。我々はまた、全身での免疫相互作用を推定する複数組織でのインタラクティブな単一細胞アトラスを開発して、多細胞ネットワークにおける新しい相互作用やハブの潜在的な機能的状況を明らかにした。さらに我々は、ヒト白血球での標的タンパク質の刺激と、ハイコンテント顕微鏡を用いたマルチプレックス解析を組み合わせて、免疫応答の調節と細胞間の関連の正常パターン維持の両方に関して、我々の受容体相互作用を機能的役割に結び付けた。まとめると我々の研究は、免疫細胞の接続について、系レベルの原理から個々の受容体の機構的特徴付けにまで及ぶ、ヒト免疫系の細胞間配線に関する系統的な全体像を示しており、これは治療的介入の機会になり得る。

