微生物学:Akkermansia muciniphilaのリン脂質は恒常的な免疫応答を誘導する
Nature 608, 7921 doi: 10.1038/s41586-022-04985-7
多くの研究によって、ヒト腸内細菌と宿主の生理機能との関連性が明らかにされてきたが、これらの関連性の根底にある分子機構を決定することは困難であった。Akkermansia muciniphilaは、宿主の代謝に及ぼす全身性の有益な効果や、がん免疫療法でのチェックポイント阻害剤に対する良好な転帰、さらに恒常的な免疫とロバストに関連している。今回我々は、細胞を使ったアッセイで、A. muciniphilaの免疫調節活性を再現するA. muciniphilaの細胞膜由来の脂質を特定したことを報告する。単離された免疫原は、分光分析と化学合成による特性解析から、2つの分岐鎖を有するジアシルホスファチジルエタノールアミン(a15:0-i15:0 PE)であることが明らかになった。a15:0-i15:0 PEの免疫原活性は、著しく制限された構造活性相関を示し、またその免疫シグナル伝達には、意外にもtoll様受容体のTLR2–TLR1ヘテロ2量体が必要だった。このリン脂質の活性には、注目すべきいくつかの特徴があった。まず、既知の天然あるいは合成のTLR2アゴニストよりも有意に活性が低く、一部の炎症性サイトカインを選択的に誘導するが、他は誘導しない。また、低い用量(EC50の1%)で免疫シグナル伝達に関する活性化閾値や応答をリセットする。この分子および同等の効力を持った合成類似体の両方が特定され、その非カノニカルTLR2–TLR1シグナル伝達経路、免疫調節の選択性、低用量での免疫制御効果が見つかったことで、A. muciniphilaが免疫学的状態を設定する能力や、健康と疾患におけるさまざまな役割のモデルに関わる分子機構が示された。

