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昆虫学:マラリア媒介蚊で雌の性行動を制御する雄のステロイド

Nature 608, 7921 doi: 10.1038/s41586-022-04908-6

昆虫は、脊椎動物とは異なり、雄に偏った性ステロイドホルモンを持たないと広く考えられている。マラリア媒介蚊であるガンビエハマダラカ(Anopheles gambiae)では、エクジステロイドの20-ヒドロキシエクジソン(20E)が、雌によって合成された場合は卵発生を制御し、雄から雌に性的に受け渡された場合は雌で交尾不応を誘導する、という2つの役割を進化させてきたように見受けられる。卵発生と交尾は極めて重要な繁殖形質であるため、ガンビエハマダラカの雌がこれらのホルモン信号をどのように統合しているかを理解できれば、新たなマラリア防除プログラムの設計を促進できると考えられる。今回我々は、こうした繁殖機能が、エクジステロイドを活性化する酵素と不活性化する酵素の複雑なネットワークを介して、異なる性ステロイドによって調節されていることを明らかにする。我々は、雄から雌へと性的に受け渡されて脱リン酸により活性化されると、雌の性的受容性を失わせて父性を確保する、雄特異的な酸化エクジステロイドである3-デヒドロ-20E(3D20E)を発見した。重要なことに、3D20Eの受け渡しは、プラスモジウム属(Plasmodium)原虫への感染の際に卵発生を維持する繁殖遺伝子の発現も誘導し、これによって感染した雌の適応度が確保される。雌由来の20Eは性的不応を引き起こさないが、20Eを阻害するキナーゼが抑制されると、交尾済みの個体で産卵を許可するようになる。このような雄特異的昆虫ステロイドホルモンが発見され、それが雌の性的受容性、稔性、プラスモジウム属の寄生虫との相互作用の調節で担う役割が明らかになったことで、マラリア媒介蚊の繁殖成功を低下させられる可能性が示唆された。

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