Perspective
量子物理学:量子シミュレーションにおける実用上の量子優位性
Nature 607, 7920 doi: 10.1038/s41586-022-04940-6
いくつかの技術やプラットフォームにまたがる量子計算の進展は、人工問題に関して古典コンピューターより優位になる「量子優位性」と呼ばれる段階に到達している。この技術の進展に沿った次の段階として、従来のスーパーコンピューターでは扱いにくい実用的に興味深い問題を量子デバイスが解く段階である「実用上の量子優位性」を検討することが、現在重要になっている。量子コンピューターの最も有望な短期的応用の多くは、現代の材料科学、高エネルギー物理学、量子化学に直接関連する微視的な粒子の量子特性のモデル化といった、量子シミュレーションの範囲内にあり、その影響は、電池、工業用触媒、窒素固定用の材料開発など、実世界におけるいくつかの重要な応用に及ぶと考えられる。空気力学は、デジタルコンピューター上でのシミュレーションまたは風洞でのシミュレーションのいずれか研究できるが、量子シミュレーションは、将来のフォールトトレラントなデジタル量子コンピューターだけでなく、すでにある現在の特定用途向けアナログ量子シミュレーターでも実行できる。本論文で我々は、量子シミュレーションの最新の展望と今後の展望を概観し、最初の実用上の量子的優位性はアナログデバイスの特殊な応用においてすでに存在し、完全なデジタルデバイスによってあらゆる応用が開かれるが、それにはフォールトトレラントなハードウエアのさらなる進展が必要であると主張する。現在存在するデジタルとアナログのハイブリッドデバイスは、近い将来の応用では大きな適応性がすでに約束されている。

