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神経科学:学習した行動の遂行におけるノルアドレナリンの時空間的動態
Nature 606, 7915 doi: 10.1038/s41586-022-04782-2
青斑核(LC)から放出されるノルアドレナリンは、至る所にある神経修飾物質で、覚醒、動作、感覚ゲイン、学習など多くの機能と結び付けられている。LC内のノルアドレナリン発現ニューロン(LC-NA)の活性化が、特定の行動の異なる構成要素を促すかどうか、またその仕組みについては知られていない。今回我々は、LC-NAの活動が、学習した行動の遂行中に、課題の実行の促進と、課題遂行の精度を向上させるための強化の符号化という2つの機能を可能にする、2つの異なる時空間的動態を示すことを明らかにする。これらの機能を検討するため、我々はマウスで、段階的な聴覚刺激感知と成績評価を含む行動課題を用いた。LCの光遺伝学的な不活性化から、LC-NAの活動が、課題の実行と最適化の両方の原因となることが実証された。また、光標識、2光子微小内視鏡、2光子出力追跡を用いたLC-NAの標的化活動記録からは、課題の実行とそれに続く強化に先行してLC-NAが一過的に活性化することが示された。段階的な活動のこれら2つの成分は、LC-NAの皮質向け出力に異なる形で表現されており、行動応答信号は運動皮質に強く表れて課題実行を促進したのに対し、負の強化信号は皮質領域全体に広がって以後の試行での応答感度を改善した。このように、LC出力のモジュール的標的化が多様な機能を可能にしており、それによって一部のノルアドレナリン信号は異なる標的間で分離されているのに対し、他の信号は広範に分布している。

