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量子物理学:原子ベースの半導体量子ドットにおけるトポロジカル状態の操作

Nature 606, 7915 doi: 10.1038/s41586-022-04706-0

量子シミュレーションを通した制御可能なフェルミオン量子系の実現は、物性物理学において最も興味深い効果の多くを探究するのに役立つ。半導体量子ドットは、それを操作して強い量子相関を実現できるので、量子シミュレーションに特に有望である。しかし、これまでにフェルミ・ハバード模型や長岡強磁性のシミュレーションが報告されているものの、強相関トポロジカル物質の最も単純な一次元模型である多体スー・シュリーファー・ヒーガー(SSH)模型については、今のところまだ実現されていない。これは主に、電子間の長距離相互作用を精密に操作して、選択されたハミルトニアンを再現することが難しいためである。今回我々は、シリコンにおいて強いクーロン閉じ込めによって精密に配置された原子について、最低6つの全エピタキシャル面内ゲートを操作して、10個の量子ドットからなる直線状アレイ全体にわたってエネルギー準位を調整し、自明な相とトポロジカル相の両方の多体SSH模型を実現できることを示す。強いオンサイトエネルギー(約25 meV)と、独特なスタガード設計におけるサブナノメートル精度でのゲート操作能によって、セル間とセル内の電子輸送比を調整して、4分の1充填において2本のコンダクタンスピークを持つトポロジカル相の明確な特徴を観測することが可能になった。これに対し、自明な相ではコンダクタンスピークは10本であった。キュービットと同形のフェルミオン系においてSSH模型が実証されたことは、今回の量子系が高度に制御可能であって将来の強相互作用電子のシミュレーションに役立つことを示している。

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