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素粒子物理学:シュウィンガー機構を通して生成される磁気単極子の探索

Nature 602, 7895 doi: 10.1038/s41586-021-04298-1

荷電粒子は、十分に強力な電場の崩壊によって生成することができ、この現象は、シュウィンガー機構として知られる。磁気単極子が存在すれば、電気磁気の二重性によって、それらもまた同様に十分に強力な磁場によって生成されると思われる。磁気単極子は仮説的な基本粒子であり、標準模型を超えるいくつかの理論で予言されているが、実験では一度も検出されていない。シュウィンガー機構を通して磁気単極子の存在を探索する試みはこれまで行われていないが、この試みは、磁気単極子の生成率を摂動論によらない半古典的手法によって計算できる可能性と、磁気単極子の生成がその有限なサイズや光子との強い結合によって促進されるはずであることから、有利である。今回我々は、現在の宇宙における既知で最強の磁場を生成する、大型ハドロン衝突型加速器(LHC)での鉛–鉛(Pb–Pb)重イオン衝突において、シュウィンガー機構による磁気単極子生成を探索した結果を提示する。これは、MoEDAL実験によって行われたもので、そのトラッピング検出器は、2018年11月に、1回の衝突につき重心エネルギーが5.02 TeVのPb–Pb衝突に0.235 nb−1、すなわち約1.8 × 109回さらされた。MoEDALのトラッピング検出器は、超伝導量子干渉素子(SQUID)磁力計によって精査され、SQUIDに永久電流を生じさせると思われる磁荷の存在が探索された。1、2、3という整数ディラック磁荷と最大75 GeV c−2の質量を持つ磁気単極子は、解析によって95%の信頼水準で除外された。今回の結果は、有限サイズの磁気単極子について、衝突型加速器による探索から得られた質量下限を与え、これまでの質量限界を大きく拡大するものである。

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