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遺伝学:鎌状赤血球ヘモグロビンによるマラリア防御はマラリア原虫の遺伝型に依存する
Nature 602, 7895 doi: 10.1038/s41586-021-04288-3
宿主の遺伝要因がマラリアに対する抵抗性を与えることがあり、これが寄生虫集団の進化的適応につながってきたのかどうかという疑問が生じている。今回我々は、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)によって引き起こされた重症のマラリアに罹患したガンビアおよびケニアの小児3346人を対象に、宿主の遺伝的バリアント候補と寄生虫の遺伝的バリアント候補の間の関連を調べた。その結果、宿主の鎌状赤血球ヘモグロビン(HbS)と、この寄生虫のゲノムの3つの領域の間に強い関連があることが分かったが、これは集団構造や他の共変量では説明できず、さらなる試料で再現性が確認された。HbSに関連する対立遺伝子には、第2染色体のアシルCoAシンテターゼファミリーに属するPfACS8遺伝子、第2染色体のもう1つの領域、第11染色体の構造変動を含む領域における非同義バリアントが含まれる。これらの対立遺伝子は、強い連鎖不均衡を示し、その頻度は集団におけるHbSの頻度と相関して変化し、特にアフリカでは世界の他の地域よりもはるかに多く見られた。HbSによる重症マラリアの推定防御効果は、症例と集団対照との比較によって決定されるように、寄生虫のこれら3つの座位での遺伝型によって大きく変化していた。これらの知見は、この寄生虫のゲノムにおけるHbS関連多型の生物学的および疫学的な重要性と、アフリカの熱帯熱マラリア原虫集団でこれらの多型の頻度が高く、強い連鎖不平衡が見られることにつながった進化の力について調べる新しい道を開く。

