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神経科学:グリッド細胞における集団活動のトロイダルトポロジー

Nature 602, 7895 doi: 10.1038/s41586-021-04268-7

内側嗅内皮質は、個体が物理的空間内での自身の位置をマッピングするための神経系の一部である。グリッド細胞はこの系のカギとなる要素で、空間を六角形に区切って並べた特徴的なパターンの中で発火し、全体としてその動物の他者中心的な位置の集団符号を形成する、複数のモジュールに分かれて構成されている。この集団符号の相関構造は、異なる環境や行動状態にわたって不変であり、これは、個別の感覚入力とは独立に、固有の反回性結合を持つ連続的アトラクターネットワーク(CAN)がグリッドパターンの基盤である可能性を指し示している。しかし、グリッド細胞ネットワークが連続的アトラクターの動態を示すかどうか、そして、それらが環境からの入力とどのように接続しているかは、これまでに得られた細胞の例数が少ないために不明であった。今回我々は、数百個のグリッド細胞からの同時記録とそれに続く位相幾何学的なデータ解析を用いて、1つのモジュール内のグリッド細胞の連合活動は、二次元CANから予想される通り、1つのトロイダル多様体上に存在することを示す。このトーラス上での位置は、環境内を移動する動物の位置と対応していた。また、個々の細胞は、トーラス上の特定位置で選択的に活性化した。これらの位置は、異なる環境間や覚醒時と睡眠時の両方で維持されており、これはグリッド細胞のCANモデルで予測されていた通りだが、代案であるフィードフォワードモデルでの予測とは符合しない。ネットワーク動態がトロイダル多様体上で実証されたことで、グリッド細胞におけるCAN動態の集団レベルでの可視化が可能になった。

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