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物性物理学:合成ゲージ場によるボース・アインシュタイン凝縮体でのドメイン壁ダイナミクス

Nature 602, 7895 doi: 10.1038/s41586-021-04250-3

物性物理から高エネルギー物理まで、多体物理系における相互作用はエキゾチックな粒子の出現につながる。その例が、量子色力学における中間子や分数量子ホール系における複合フェルミオンであり、これらは、物質とゲージ場の動的結合から生じる。物質–ゲージ相互作用の複雑さを理解するという難題には、量子シミュレーションを役立てることができ、そうしたシミュレーションでは、人工ゲージ場の生成を通して極低温原子が汎用プラットフォームになる。エキゾチックな創発粒子の物理のシミュレーションに向けた重要な一歩は、物質の存在に動的に依存する状態を持つ人工ゲージ場の合成である。今回我々は、原子密度によって決まるゲージ場を用いた、安定なボース・アインシュタイン凝縮体におけるドメイン壁の決定論的な形成について実証する。密度依存ゲージ場は、光格子ポテンシャルと原子間相互作用の同時変調によって生成され、その結果、2つの異なる運動量に凝縮された原子のドメインが生じる。我々は、ドメイン壁を素励起としてモデル化することで、ドメイン壁が合成電場に応答し、その比電荷が裸の原子の比電荷より大きく、符号が逆であることを見いだした。今回の結果から、量子系においてこれまで記述されてこなかった励起のダイナミクスと相互作用の、動的なゲージ場を用いたシミュレーションへの明るい見通しが得られる。

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