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免疫学:自己免疫性幹細胞様CD8 T細胞集団は1型糖尿病を進行させる

Nature 602, 7895 doi: 10.1038/s41586-021-04248-x

CD8 T細胞を介した自己免疫疾患は、自己反応性CD8 T細胞で自己寛容機構が破綻したことの結果である。しかし、自己免疫性T細胞集団がどのようにして生じ、維持されるのかは不明であり、また、自己免疫性T細胞状態を特徴付ける分子プログラムも知られていない。1型糖尿病では、β細胞特異的なCD8 T細胞が、インスリンを産生するβ細胞を破壊する。今回我々は、非肥満糖尿病マウスで、1型糖尿病の経過中を通じてβ細胞特異的CD8 T細胞の運命を追跡した。その結果、膵臓の流入領域リンパ節(pLN)に、幹細胞に似た自己免疫性前駆細胞集団が存在することが突き止められた。この集団は自己再生し、pLN自己免疫性メディエーター細胞を生じる。pLNの自己免疫性メディエーター細胞は膵臓に移動し、そこでさらに分化してβ細胞を破壊する。自己免疫性前駆細胞をわずか20個移植しただけで1型糖尿病が誘発されるが、膵臓の自己免疫性メディエーター細胞を10万個移植しても1型糖尿病は誘発されなかった。膵臓の自己免疫性メディエーター細胞は短寿命であり、β細胞の破壊を持続させるには、幹細胞様の自己免疫性前駆細胞が継続的に膵臓に補給される必要がある。単一細胞RNA塩基配列解読とクローン解析により、自己免疫性CD8 T細胞はT細胞の独特な分化状態であることが明らかになり、自己免疫性前駆細胞から自己免疫性メディエーター細胞への移行を推進する性質が見つかった。幹細胞様自己免疫性前駆細胞プールを標的とする戦略からは、1型糖尿病の新しい強力な免疫治療法が生まれる可能性がある。

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