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構造生物学:NETO2によるカイニン酸受容体の調節

Nature 599, 7884 doi: 10.1038/s41586-021-03936-y

グルタミン酸依存性のカイニン酸受容体は脊椎動物の中枢神経系に広く見られ、シナプス後部ではシナプス伝達を仲介し、シナプス前部では伝達物質の放出を調節している。脳では、カイニン酸受容体のトラフィッキング、ゲート開閉の速度論的性質、薬理学的性質は、NETO(neuropilin and tolloid-like)タンパク質によって厳密に調節されている。今回我々は、NETO2と複合体を形成しているGluK2ホモ四量体について、阻害状態と脱感作状態のクライオ電子顕微鏡構造を報告する。この構造から、GluK2–NETO2複合体の化学量論的性質の変動(GLuK2に1つ、もしくは2つのNETO2が結合している)が明らかになった。また、NETO2はカイニン酸受容体の2つの広い界面だけに接近して、ATDA/Cの低い方の突出部、LBDB/Dの上側の突出部、それにLBDA/Cの低い方の突出部を分子間架橋していることが分かり、NETO2が受容体開閉の速度論的性質を調節する仕組みが示された。NETO2の膜貫通ヘリックスは選択性フィルターの近くに位置し、M4の後に続く両親媒性のH1ヘリックスと、受容体のM1–M2リンカーが形成する細胞内capドメインとの相互作用を競合していて、このことからNETO2が整流を調節する仕組みが明らかになる。

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