生態学:植生が取り込む土壌水の時空間的起源
Nature 598, 7882 doi: 10.1038/s41586-021-03958-6
植生は、地球の水循環、エネルギー循環、炭素循環を調節している。植生のこうした機能が将来的にどう変化する可能性があるかは、植生が干ばつにどう対処するかに大きく依存する。干ばつが起きている場所および時期では、植生は水の取り込みを変化させ、より深部の土壌や岩石の水分、地下水を利用するようになることを示す証拠が存在する。今回我々は、植物による4種類の水源の使用について区別・評価した。水源1は当月の降水、水源2は、より深部の不飽和土や不飽和岩に貯留された過去の降水、水源3は、地下水に貯留された過去の降水(局地的に涵養される)、水源4は、高地の降水に由来し、河川と地下水流によって低地に集められた地下水(遠隔的に涵養される)である。我々は、逆モデル化と同位体に基づく推定を用いて、これら4種類の水源からの植物の水の取り込みの、全球的・季節的なパターンおよび駆動要因を調べた。その結果、(1)全球的・年単位では、植物の蒸散量が各水源に依存する割合は、水源1が70%、水源2が18%であるのに対し、水源3はわずか1%で、水源4は10%であること、(2)地域的・季節的には、最も乾燥した月の水源1の利用は、半乾燥地域でわずか19%、地中海地域では32%、冬季乾燥型の熱帯地域では17%であること、(3)景観規模では、乾季の高地においては深部の不飽和透水層で深い根によって取り込まれる水源2が極めて重要だが、水辺林や砂漠のオアシスが見られる渓谷では水源4が最高47%に達することが分かった。これら4種類の水源は、発生する場所および時期、移動の時空間的規模、気候および人為起源の力への応答の感度が全て異なるため、植物の水源の空間的・時間的起源を理解することで、生態系の管理や、降水と植生を結び付ける、極めて重要な水文経路の地球システムモデルに有用な情報が得られる。

