Article
ナノスケールデバイス:フォトニックチップベースの粒子加速器における電子の位相空間制御
Nature 597, 7877 doi: 10.1038/s41586-021-03812-9
粒子加速器は、科学、病院、産業において不可欠なツールである。しかし、それらの使用は、コストと設置面積の大きさ(長さが数メートルから数キロメートルに及ぶ)のために制限されている。最近実証された、ナノフォトニクスを用いる荷電粒子の加速によって、粒子加速器のコストとサイズを数桁小さくすることができる。この手法では、綿密に設計されたナノ構造が、レーザー光から粒子へと位相同期の様式でエネルギーを移行させ、粒子を加速する。最小限の粒子損失で、粒子をメガ電子ボルト領域やそれを超えるエネルギーへと加速するには、粒子ビームを長距離にわたって閉じ込める必要があるが、必要とされる電子ビームの位相空間制御はこれまで困難であった。今回我々は、長さが77.7 μmのシリコン系フォトニックナノ構造の幅225 nmの狭いチャネルにおいて、複雑な電子の位相空間制御を光周波数で実証する。具体的には、原理的には任意の長さになり得る損失最小輸送の粒子伝播方式である、交替位相集束を実験的に示す。我々は、今回の研究が、フォトニックチップ上でのメガ電子ボルトの電子ビームの生成を可能にし、放射線治療や小型光源の他、狭エネルギービームやゼプト秒バンチビームをもたらすタイプの電子位相空間制御にも応用できる可能性があると予想する。

