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生化学:閉じたペースメーカーイオンチャネルへのcAMPの結合は非協働的に起こる
Nature 595, 7868 doi: 10.1038/s41586-021-03686-x
脳や心臓の電気活動は、ペースメーカーイオンチャネル(HCN)による活動電位のリズミカルな発生に依存しており、このチャネルの活性はcAMPの結合によって調節されている。これまでの研究で、cAMPの結合では正と負の両方の協同性が生じることの証拠が見つかっているが、そうしたバルク測定はパラメーターの分解能に制約があるため、難しかった。単一分子技術を用いてこのような曖昧さを取り除こうという試みは、個々のリガンド分子の膜受容体への結合を生理的濃度で直接検出することができないため、うまくいかなかった。今回我々は、ナノフォトニックゼロモード導波路(naonophotonic zero-mode waveguide)を用いてこの難問を克服し、多量体であるHCN1およびHCN2イオンチャネルへの個々のリガンドの結合動態を直接解いた。cAMPはチャネルポアが閉じている時には、4個のサブユニット全てに互いに独立に結合するが、その後にコンホメーション異性化が起こると、各部位で反転状態(flip state)になることが分かった。cAMP結合と異性化の異なる動態は、各アイソフォームのcAMPに対する生理的に異なった応答の基盤となっていると考えられ、リガンドが誘発する反転状態モデルの妥当性の直接的証明となっている。多量体タンパク質への生理的濃度のリガンドの段階的結合を観察するこの方法は、他の無傷状態の膜タンパク質や受容体でも、単一分子レベルの分解能で結合のアロステリック作用を調べられる直接的な方法になるだろう。

