ナノスケール材料:ヘテロ二量体ナノクラスターの二重らせん状集合による超結晶形成
Nature 594, 7863 doi: 10.1038/s41586-021-03564-6
DNAは、無機ナノ粒子のらせん状の集合体を構築するための鋳型として長く用いられてきた。例えば、DNA(またはペプチド)で修飾された金ナノ粒子は、らせん状の集合体を形成できる。しかし、そうした生物学的な配位子がなければ、らせん構造の実現は難しく、その形成機構の理解は困難である。チオラートなどの配位子によって保護された原子レベルで精密なナノクラスターでは、生体分子やその集合体に似た、集合体における粒子間および粒子内のレベルでの階層的な構造の複雑さが実証されている。さらに、担体のダイナミクスは、ナノクラスターの構造の操作によって制御できる。しかし、こうしたナノクラスターは一般に構造が等方的で、集合化すると、ありふれた超結晶になることが多い。今回我々は、ホモ二量体金ナノクラスターとヘテロ二量体金ナノクラスターの合成と、それらのクラスターの自己集合による超構造形成について報告する。ホモ二量体ナノクラスターが積層超構造を形成するのに対し、ヘテロ二量体ナノクラスターは自己集合して二重らせん超構造や四重らせん超構造を形成する。こうした複雑な配置構造が生じるのは、2つの異なるモチーフ対が存在する結果であり(モノマー1つにつき1対)、各モチーフは、隣接ヘテロ二量体上の対を成す相手のモチーフと結合する。このモチーフ対形成は、DNAらせんにおける核酸塩基の対合相互作用を想起させる。一方、クラスター上の周囲の配位子は、二重や三重に対形成する立体相互作用を示す。らせん状の集合は、粒子回転や立体配座の整合を通して、ファンデルワールス相互作用によって駆動される。さらに、ヘテロ二量体クラスターは、ホモ二量体クラスターと比較して、担体寿命が約65倍長い。今回の知見は、超結晶における構造設計や精密さの操作において複雑さを増大させる新しい手法を示唆している。

