Article

コンピューター科学:強化学習を用いた成層圏気球の自律航法

Nature 588, 7836 doi: 10.1038/s41586-020-2939-8

成層圏におけるスーパープレッシャー気球の効率の良い航行には、風速や太陽高度などの複数の手掛かりを統合する必要があり、このプロセスは予測誤差やまばらな風速測定によって複雑になる。これらの要因と実時間での意思決定の必要性から、従来型の制御技術を使用することはできない。本論文では、強化学習を用いて、高性能な飛行制御装置を作製したことを報告する。今回のアルゴリズムは、データ拡張と自己修復設計を用いて、不完全なデータからの強化学習という重要な技術的課題を克服している。これは、物理系への応用において大きな障害となることが判明していた課題である。我々は、今回の制御装置をルーン(Loon)気球に配備して世界各地の複数地点で定置させ、太平洋上での39日間にわたる制御実験などを行った。解析の結果、本制御装置は、性能がルーンの以前のアルゴリズムより優れており、成層圏の風の自然な多様性に対しロバストであることが示された。これらの結果は、強化学習が、従来の手法でも人間の介入でも十分には扱えない現実世界の自律制御問題の有効な解決策であることを実証しており、現実の動的環境と絶えず相互作用する人工知能エージェントを生み出すのに必要となる可能性があるものは何なのかについて手掛かりをもたらす。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度