進化遺伝学:高深度のアフリカ人ゲノムから得られたヒトの移動と健康についての情報
Nature 586, 7831 doi: 10.1038/s41586-020-2859-7
アフリカ大陸は現生人類のゆりかごとされていて、アフリカ人ゲノムには他のどの大陸のヒトゲノムよりも多くの遺伝的多様性が含まれているが、アフリカ人の個人間の遺伝的多様性についてはごく一部しか調べられていない。今回我々は、アフリカ全体のゲノム多様性の幅を調べるために、これまでに試料が採取されていなかった集団を含む、50の民族言語グループからなる426人について、全ゲノム塩基配列解読解析を行った。その結果、これまでに報告されていなかった300万以上のバリアントが明らかになった。これらのバリアントのほとんどは新たに試料採取された民族言語グループで見つかり、また、これまで報告されていなかった62座位は強力な選択下にあり、こうした選択は主にウイルス免疫、DNA修復、代謝に関与する遺伝子に見られた。ザンビアがバントゥー諸語話者集団の拡散経路における中継地点であった可能性が高いという証拠とともに、集団内および集団間の両方で、祖先の混合の複雑なパターンや、機能を破壊すると推定される多様性や新規な多様性の複雑なパターンが観察された。現在、医学的に重要だと特徴付けられている遺伝子における病原性バリアントはまれだったが、他の遺伝子では、ClinVarデータベースで「病原性の可能性がある」とされているバリアントがありふれていた。まとめるとこれらの知見は、人類のアフリカ大陸内の移動に関する現在の理解を深め、遺伝子流動とヒト疾患への応答が集団のゲノムレベルの多様性の強力な駆動要因であることを突き止めたもので、ヒトの祖先を理解したり健康を改善したりするために、アフリカ人ゲノムの多様性の特徴をより広く解明する科学的必要性を強調している。

