物性物理学:磁性トポロジカル材料の高スループット計算
Nature 586, 7831 doi: 10.1038/s41586-020-2837-0
巨大な異常ホール効果を伴う半金属やアクシオン絶縁体など、本質的に磁性を持つトポロジカル材料の発見によって、基礎研究の方向性が固体材料へと向けられた。また、トポロジカル量子化学によって常磁性トポロジカル材料の理解が進み、その探索が可能になった。今回我々は、磁性トポロジカル量子化学(MTQC)から得られた磁性トポロジカル指数を用いて、第一原理計算に基づき、磁性トポロジカル材料の高スループット探索を行った。中性子散乱実験から磁性構造を推定した549種を超える磁性化合物を含む、ビルバオ結晶学サーバー(Bilbao Crystallographic Server)上の磁性材料データベースを出発点として用いることで、130種の強制された半金属(これらについては、対称固有値によってバンド交差が示唆されている)とトポロジカル絶縁体が特定された。各化合物について、ハバードポテンシャルのさまざまな値を用いた完全なトポロジカル相図など、完全な電子構造計算が行われた。我々は、全ての磁気空間群の全てのバンドの磁気余表現を見つけるためにカスタムコードを用いて、MTQCのアルゴリズムに投入するデータを作成して各磁性材料のトポロジーを決定した。これらの材料の一部は、対称性を示す磁性半金属、三次元異常ホール絶縁体、より高次の磁性半金属など、これまで知られていなかったトポロジカル相を示した。さまざまな相互作用の下でこれらの材料のトポロジカルな傾向を分析したところ、130種のトポロジカル材料の60%でトポロジーが相互作用に敏感で、その他の材料のトポロジーは異なる相互作用の下でも安定していることが分かった。我々は、将来の実験研究のための材料データベースと、磁性材料のトポロジーを調べるオープンソースコードを提供する。

