Article

分子生物学:RecA–DNAシナプス構造とDループ構造からのDNA鎖交換機構

Nature 586, 7831 doi: 10.1038/s41586-020-2820-9

DNA鎖交換反応は、相同組換えの中核をなしている。この反応は、ATPアーゼのRecAファミリーにより触媒され、RecAは一本鎖DNA(ssDNA)とATPと共にらせん状のフィラメント構造を形成する。このフィラメント構造はドナー二本鎖DNA(dsDNA)と結合してシナプスフィラメントを形成し、これが相同箇所を探し出して相補鎖との交換を触媒し、新規のヘテロ二本鎖か、もし相同箇所が限られている場合にはDループを形成する。シナプスフィラメントが形成され、相同箇所を探し出してDNA鎖交換を触媒する仕組みはほとんど解明されていない。今回我々は、非相補的dsDNAと部分的に相補的なdsDNAの両方と結合したシナプスミニフィラメントと、10もしくは12塩基対からなるヘテロ二本鎖を含むRecA–Dループ複合体のクライオ電子顕微鏡解析について報告する。RecAのC末端ドメインはdsDNAと結合し、それをRecAのL2ループの方へ向け、このループが二本鎖へ進入してそれを開裂させる。開裂は、第二のDNA結合部位上へと相同鎖を隔離しているRecAを介して広がり、これによって相補鎖は解離されssDNAとの対合のサンプリングが行われる。RecAの各ステップで、二本鎖開裂が終了し、まだ開裂していないdsDNA部分が別のC末端ドメインに結合する確率は約20%である。相同箇所はヘテロ二本鎖の対形成とssDNAの第二の部位への結合の協働によってこの過程を抑制し、dsDNA開裂は伸長する。この機構は、相同箇所に出合わない場合は、対形成のために探索されたssDNAの長さを局所的に制限し、これによってドナーdsDNA上での広く間隔をとった多数のシナプス形成が可能になり、相同箇所に遭遇する可能性が増大する。これらの知見は、相同組換えへの機構についての重要な手掛かりを与える。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度