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遺伝学:9万7691人の全ゲノムに見られるクローン造血の遺伝的要因

Nature 586, 7831 doi: 10.1038/s41586-020-2819-2

年齢はほとんどのヒト慢性疾患の主要なリスク因子であるが、加齢によるリスク上昇の機構についてはほとんど分かっていない。加齢に伴う体細胞変異の獲得は再生中の造血幹細胞集団でクローン増殖を引き起こすが、最近これが血液がんと冠動脈性心疾患の両方に関連付けられており、この現象は未確定の潜在能を持つクローン造血(CHIP;clonal haematopoiesis of indeterminate potential)と呼ばれる。生殖細胞系列と体細胞の全ゲノム塩基配列を同時に解析することにより、CHIPの根本原因を特定する機会が得られる。今回我々は、米国立心肺血液研究所のTOPMed(Trans-omics for Precision Medicine)プログラムの参加者である、多様な祖先を持つ9万7691人から得られた高カバー率の全ゲノム塩基配列を解析し、CHIPを持つ4229人を特定した。また、異なるCHIPドライバー遺伝子に特異的な関連を持つ、血液細胞、脂質、炎症の形質が見つかった。生殖細胞系列の遺伝的バリアントのゲノム規模セットの関連付けから、CHIPの状態と関連する3つの遺伝的座位を特定することができた。その中の1つの座位はTET2に位置し、アフリカ系の祖先を持つ参加者に固有だった。in silico情報に基づくin vitroでの生殖細胞系列のTET2座位の評価から、TET2の遠位エンハンサーを破壊して、造血幹細胞の自己複製の増加を引き起こす原因バリアントを特定することができた。まとめると、生殖細胞系列の遺伝的変動が造血幹細胞の機能を形作り、それが、クローン造血特異的な機構、ならびに組織全体で体細胞変異を引き起こす共通の機構を介してCHIPにつながることが分かった。

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