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構造生物学:ヘプシジンが結合したフェロポーチンの構造から明らかになった鉄恒常性機構
Nature 586, 7831 doi: 10.1038/s41586-020-2668-z
ヒトでの鉄の血清中濃度は、ホルモンであるヘプシジンが鉄搬出輸送体フェロポーチンに及ぼす作用によって厳密に制御されている。ヘプシジンは、フェロポーチンのインターナリゼーションと分解を誘導することにより、鉄の吸収と再利用を調節している。フェロポーチンの活性異常は、ヘモクロマトーシスのような鉄過剰による疾患、もしくは鉄供給の制限による貧血(iron limitation anaemia)につながることがある。今回我々は、脂質ナノディスク中のフェロポーチンについて、アポ状態、および鉄を模倣したコバルトおよびヘプシジンと複合体を形成した状態の両方のクライオ電子顕微鏡構造を決定した。これらの構造および同時に行われた分子動力学シミュレーションから、フェロポーチンのNドメインとCドメイン中にある2つの金属結合部位が明らかになった。ヘプシジンは外向きに開いたコンホメーションのフェロポーチンと結合し、鉄搬出経路を完全に塞いで輸送を阻害する。ヘプシジンのカルボキシ末端は、フェロポーチンCドメイン中の二価金属と直接接触していた。ヘプシジンのフェロポーチンへの結合は鉄結合と共役しており、鉄が存在するとヘプシジン親和性が80倍に上昇する。これらの結果から、ヘプシジンによるフェロポーチン調節のモデル、つまり鉄を含んだフェロポーチン分子のみが分解の標的となるというモデルが考えられる。さらに広く見れば、我々の構造学的及び機能的知見は、鉄恒常性の異常に際してヘプシジン–フェロポーチン軸を標的とするより絞り込んだ操作を可能とするかもしれない。

