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腫瘍生物学:ヒトの皮膚由来の個々のメラノサイトのゲノムの全体像
Nature 586, 7830 doi: 10.1038/s41586-020-2785-8
ヒトの体の全ての細胞は固有の体細胞変異セットを持っているが、個々の細胞の遺伝型を包括的に決定することは困難である。今回我々は、正常なヒト皮膚という状況において、この障害を克服する方法について報告する。これにより、ヒト皮膚由来の個々のメラノサイトのゲノムの全体像を垣間見ることができるようになった。予想通り、日光を遮断したメラノサイトは、日光に曝露されたメラノサイトよりも変異が少なかった。しかし、慢性的に日光に曝露されている皮膚(顔など)のメラノサイトは、間欠的に日光に曝露される皮膚(背中など)のメラノサイトよりも変異量が少なかった。皮膚がんに隣接して位置するメラノサイトは、皮膚がんのないドナー由来のメラノサイトよりも変異量が多いことから、正常な皮膚の変異量を用いて、日光による累積的な損傷および皮膚がんのリスクを測定できると考えられる。さらに、健康な皮膚由来のメラノサイトは病原性変異を含むことが多いが、これらの変異は発がん性が弱い傾向があり、おそらくこれが認識可能な病変を生じなかった理由であろう。系統発生学的解析から、関連するメラノサイトのグループが複数特定され、メラノサイトが肉眼では分からない、クローン関係がある細胞の領域として皮膚全体に広がっていることが示唆された。まとめると我々の結果は、個々のメラノサイトのゲノムの全体像を明らかにしており、黒色腫の原因と起源についての重要な手掛かりを提供する。

