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免疫学:原型となる病原体での準備によって可能になったSARS-CoV-2 mRNAワクチンの設計

Nature 586, 7830 doi: 10.1038/s41586-020-2622-0

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対するワクチンは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)の制御に必要である。構造研究の結果を受けて、ベータコロナウイルス属(betacoronavirus)のスパイクタンパク質を融合前の状態で安定化する変異の開発が行われてきた。これによってスパイクタンパク質の発現が上昇して、免疫原性が高まる。この原理を応用して、融合前のコンホメーションで安定化されたSARS-CoV-2スパイクタンパク質をコードするmRNAワクチンであるmRNA-1273が設計された。今回我々は、mRNA-1273が、野生型(D614)とD614G変異型のSARS-CoV-2の両方に対して中和抗体応答とCD8+ T細胞応答を強力に誘導し、マウスの肺と鼻で免疫学的な病態の徴候を生じることなくSARS-CoV-2感染を防ぐことを示す。mRNA-1273は現在、第III相臨床試験でその有効性の評価が行われている。

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