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原子物理学:重陽子とHD+分子イオンのペニングトラップ質量測定
Nature 585, 7823 doi: 10.1038/s41586-020-2628-7
最も軽い原子核の質量と電子の質量は相互に関連しており、それらの値は、原子物理学、分子物理学、ニュートリノ物理学の観測可能量だけでなく、計測学にも影響を及ぼす。これらの基本パラメーターの最も正確な値は、ペニングトラップ質量分析法によって得られており、質量の相対的不確かさは10−11のオーダーまで低減されている。しかし、さまざまな実験から得られたデータを使った重複度チェックからは、陽子、重陽子、ヘリオン(ヘリウム3の核)の質量に著しい不一致があることが明らかになっており、これは、これらの値の不確かさが過小評価されている可能性を示唆している。今回我々は、12Cを質量基準として使った、重陽子とHD+分子イオンの絶対質量測定の結果を示す。得られた重陽子質量の値2.013553212535(17)原子質量単位は、CODATAの値と比べて、精度が2.4倍高く、差異は標準偏差の4.8倍であった。その相対的不確かさは、1兆分の8と極めて小さく、原子質量単位で直接測定した質量値としてはこれまでで最も正確である。さらに、HD+分子イオン質量の今回の測定結果3.021378241561(61)原子質量単位からは、重陽子の質量(本研究)と陽子の質量に関する我々の結果の厳密な整合性チェックが可能になるだけでなく、原子質量単位に対するトリチウムとヘリウム3の質量のさらなる関係性も確立される。重陽子と陽子の質量比に関する最近の測定結果と組み合わせると、陽子質量の基準値の不確かさは3分の1に低減できる。

