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医学研究:IGF1RはRSウイルスの侵入受容体である
Nature 583, 7817 doi: 10.1038/s41586-020-2369-7
感染による肺炎は世界的に主要な死因の1つである。RSウイルス(respiratory syncytial virus;RSV)による肺感染症は、ヒトの健康に及ぼす負担が大きいが、治療選択肢はほとんどない。RSVは気道の繊毛上皮細胞を標的とするが、RSVなどのウイルスがこれらの細胞上の受容体と相互作用する仕組みは分かっていない。ヌクレオリンはRSVの侵入補助受容体であり、インフルエンザ、パラインフルエンザウイルス、一部のエンテロウイルス、野兎病を引き起こす細菌の細胞侵入も仲介する。今回我々は、RSVが細胞内に侵入する機構を示す。この機構では、融合前のRSV-F糖タンパク質とインスリン様増殖因子1受容体の結合が関与する細胞外から細胞内へのシグナル伝達が、プロテインキナーゼCゼータ(PKCζ)の活性化を開始させる。この細胞シグナル伝達カスケードは、細胞の核から細胞膜へヌクレオリンを誘導し、ヌクレオリンはそこでウイルス粒子上のRSV-Fにも結合する。気道オルガノイド培養では、PKCζ活性化の阻害によりRSV粒子へのヌクレオリンのトラフィッキングが防止され、RSV感染マウスではウイルスの複製や病変が減少することが分かった。これらの知見は、受容体への結合とシグナル伝達が細胞表面上で補助受容体をウイルス粒子に誘導するウイルス侵入機構を明らかにしており、今回の結果はRSV感染を治療するための新しい治療法の基盤になる可能性がある。

