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量子物理学:光共振器中の低温原子による動的相転移の探索
Nature 580, 7805 doi: 10.1038/s41586-020-2224-x
光共振器中の原子と光の相互作用から、制御された環境における集団(多体)量子物理学を研究する手段が得られる。共振器中のこうした原子集団は集団的な量子スピンモデルの研究向けに提案されており、そうしたモデルでは、原子の内部準位が、スピン自由度を模擬するとともに、共振器パラメーターを変化させることで調整できる長距離相互作用を通して相互作用する。これまでに、原子–光相互作用と共振器からの光の散逸の間の相互の影響から生じる非古典的な定常状態相が研究されてきた。こうした系からはまた、実験によって最近実証されたように、平衡状態では存在が妨げられるが平衡から外れるよう系を駆動することによって安定化できる物質の動的相を調べる機会も得られる。さらにこうした相は、標準的な平衡相転移に似た普遍的な挙動を示す可能性がある。本論文では、光共振器中の約100万個のストロンチウム88原子の集団を使って、量子磁性の象徴的なモデルである集団Lipkin–Meshkov–Glickモデルをシミュレートし、この系における物質の独特な動的相の観測結果について報告する。今回の系によって、系のサイズや初期状態などのパラメーターに対する動的相転移の依存性を調べることが可能になった。得られた観測結果は、超流動体ヘリウムや、結合した原子凝縮体または固体ポラリトン凝縮体におけるジョセフソン効果など、関連した系のよく似た動的相と関連付けることができる。この系自体からは、光学遷移において計測学的に有用なエンタングル状態が生じる可能性があり、これによって最先端の原子時計の量子増強が可能になるかもしれない。

