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ウイルス学:アレナウイルス複製装置についての構造学的知見

Nature 579, 7800 doi: 10.1038/s41586-020-2114-2

アレナウイルス類は、ヒトなどの動物で重篤な出血熱や神経疾患を引き起こすことがあり、公衆衛生への大きな脅威となっていて、その典型的な例としてはラッサウイルスやマチュポウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスが挙げられる。これらのウイルスは、ウイルスゲノムの転写や複製のために大型で複数のドメインを持つRNA依存RNAポリメラーゼをコードしている。ウイルスのポリメラーゼは、抗ウイルス薬の主要な標的の1つである。しかし、アレナウイルスポリメラーゼの構造はまだ知られていない。今回我々は、ラッサウイルスとマチュポウイルスのポリメラーゼについて、アポ状態とプロモーターとの結合状態の両方の近原子分解能での構造を報告する。これらの構造から、全体構造はインフルエンザウイルスやブニヤウイルスのポリメラーゼと似ているが、独自の局所的特徴を持つことが明らかになった。そうした特徴の1つが、アレナウイルスに特異的でポリメラーゼ活性を調節しているinsertionドメインである。アレナウイルスポリメラーゼの秩序立った構造の活性部位は、本来的にスイッチオンの状態にあって、インフルエンザウイルスとブニヤウイルスのポリメラーゼの両方が必要とする5′-ウイルスRNAによるアロステリックな活性化は不要である。さらに、二量体化がポリメラーゼ活性を促進している可能性がある。これらの知見は、アレナウイルスの複製機構についての我々の理解を進めるもので、抗ウイルス薬開発の重要な基盤となるだろう。

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