Letter
神経科学:覚醒下行動中マウスの神経活動の集団画像化
Nature 574, 7778 doi: 10.1038/s41586-019-1641-1
神経科学の積年の目標の1つは、覚醒下行動中の哺乳動物でニューロン集団中の個々の細胞の膜電位を画像化することである。この論文では、遺伝的にコードされた蛍光電位指示物質SomArchonについて報告する。この物質は、ミリ秒レベルの応答時間を持ち、光遺伝学的な制御も可能で、これまでに報告された完全遺伝子コード試薬と比較して、感度・信号雑音比・観察可能細胞数において数倍向上している。SomArchonを用いると、通常の単一光子顕微鏡でも、頭部固定下の覚醒行動中マウスの複数の脳領域(皮質、海馬、線条体)で、いちどきに約13個のニューロンからの、ルーチン集団解析が可能である。今回SomArchonを利用して、運動中の線条体ニューロンで正負両方の応答を検出したが、これは電気生理学的には以前に報告されていたものの、近年のカルシウム画像化法では容易に検出できなかったものであり、両方向の変化を明らかにできる電位画像化の能力がはっきりと示された。また、個々の海馬ニューロンのスパイクが、閾値下シータ振動とどのように関連しているかをSomArchonで検討したところ、個々のニューロンのスパイクは、局所的電場電位のシータ振動に対してよりも、各ニューロン固有の閾値下シータ振動に対して位相固定されていることが分かった。従って、SomArchonは、覚醒行動中マウスのスパイクと閾値下電位動態を、両者とも示せる。

