Letter

地球科学:地球下部マントルの巨大低せん断速度領域を説明できるCaSiO3ペロブスカイトの地震波速度

Nature 572, 7771 doi: 10.1038/s41586-019-1483-x

地震学的記録は、下部マントル全体にさまざまな不均一性が存在することを示しているが、そうしたシグナルの起源(熱的なのか化学的なのか)は明らかになっておらず、そのため、それらが保持する地球深部の性質についての情報の大部分は不明瞭である。観測される地震波速度を正確に解釈するには、地球に存在している可能性がある全ての鉱物成分についての地震波特性の知識が必要である。ケイ酸カルシウム(CaSiO3)ペロブスカイトは下部マントル全体で3番目に豊富な鉱物であると考えられている。今回我々は、CaSiO3ペロブスカイト試料の結晶構造、S波速度、P波速度を同時に測定し、この物質の断熱体積弾性率と断熱せん断弾性率を直接絞り込んだ。その結果、CaSiO3ペロブスカイトにチタンを混和すると、高温で正方晶構造が安定化し、この物質のせん断弾性率が計算や熱力学的データセットから予測されるよりもかなり低くなることが見いだされた。文献データと合わせて外挿すると、今回の結果は、沈み込んだ海洋地殻が、地震波低速度異常として下部マントル全体に可視化されることを示唆している。特に、巨大低せん断速度領域(LLSVP)は再循環した海洋地殻の適度な濃縮と矛盾しておらず、中部マントルの不連続面は、チタンを含むCaSiO3ペロブスカイトの正方晶–立方晶相転移によって説明できる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度