Letter

分子生物学:ユビキチンクリッピングを用いたユビキチン鎖の構造についての手掛かり

Nature 572, 7770 doi: 10.1038/s41586-019-1482-y

タンパク質のユビキチン化は、あらゆる細胞過程に影響を及ぼす多機能の翻訳後修飾である。その多機能性はポリユビキチン鎖構造の複雑さに由来し、個々のユビキチン部分は1残基あるいは複数残基でユビキチン化、および/あるいはリン酸化やアセチル化の修飾を受けることがある。質量分析の進歩により、ユビキチンコードを作り出す個々のユビキチン修飾のマッピングが可能になっているが、ポリユビキチンシグナルの構造はほとんど解析できていない。今回我々は、ポリユビキチンのシグナルや構造を理解する方法論としてユビキチンクリッピング(Ub-clipping)を紹介する。ユビキチンクリッピングでは、ウイルスの改変プロテアーゼであるLbpro∗を用いて、基質からユビキチンの不完全な除去を行い、特徴的なC末端のGlyGlyジペプチドをユビキチン修飾を受けた残基に結合させた状態で残している。これにより、基質上およびポリユビキチン内でのタンパク質ユビキチン化の直接評価が容易になる。Lbpro∗によって作り出されたモノユビキチンは、GlyGly修飾残基を保持しているので、多数のGlyGly修飾を持つ分岐点のユビキチンの定量が可能になる。解析の結果、ポリマー中の大量(10〜20%)のユビキチンが分岐鎖として存在しているらしいことが分かった。さらにユビキチンクリッピングは、共存するユビキチン修飾の評価を可能にする。脱分極させたミトコンドリアの解析から、PINK1/Parkinを介したマイトファジーが、モノユビキチンと短鎖ポリユビキチンを主に利用しており、その場合にリン酸化を受けたユビキチン部分はそれ以上修飾を受けないことが明らかになった。従ってユビキチンクリッピングによって、ユビキチンコードの構造と組み合わせによる複雑さについての手掛かりが得られる可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度