Letter

発生生物学:マウス初期胚における細胞系譜の割り当てと組織構築の分子構造

Nature 572, 7770 doi: 10.1038/s41586-019-1469-8

マウス胚の着床後の発生過程では、初期の胚盤葉上層の内部細胞塊の子孫細胞が、ナイーブ型からプライム型の多能性状態へと移行する。同時に、胚葉が形成され、細胞系譜が指定されて、胚発生の青写真が確立される。運命マッピングや細胞系譜解析の研究からは、胚葉の異なる領域の細胞が原腸形成の際に位置特異的な細胞運命を獲得することが明らかにされている。基本的なボディープランの形成に先立って起こるこうした細胞運命の領域化は、脊椎動物胚では保存されていて、その機構は胚発生プログラムの理解や幹細胞に基づくトランスレーショナル研究に役立っている。しかし、着床後胚の細胞系譜の分離や組織構造についてのゲノム規模の分子的注釈付けは、いまだ行われていない。今回我々は、原腸形成前から原腸形成後期までの発生段階における、胚葉の特定の位置にある細胞集団の空間的に分解されたトランスクリプトームについて報告する。この時空間的トランスクリプトームによって、高分解能のデジタル化されたin situ遺伝子発現プロファイルが得られ、組織系譜の分子系図が明らかになり、多能性状態の時間的および空間的な連続性が示された。このトランスクリプトームからはさらに、細胞系譜の指定や組織のパターン形成を駆動する分子的な決定要因のネットワークが突き止められ、これによって胚葉発生におけるHippo–Yapシグナル伝達の役割が裏付けられるとともに、マウス初期胚における臓側内胚葉の内胚葉への寄与が明らかになった。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度