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材料科学:極めて厚い有機発光ダイオードで得られた高い性能

Nature 572, 7770 doi: 10.1038/s41586-019-1435-5

有機発光ダイオード(OLED)技術は、次世代型のディスプレイや照明への応用に有望である。しかし、特に大面積大量生産においては、従来の薄い有機層で大面積基板を均一に覆うことが困難であり、有機層の膜厚のばらつきによって電極間に短絡経路が形成されることが、OLEDデバイスの生産歩留まりを低下させる原因であった。この問題を解決するためには、有機輸送層を厚くすればよい。厚い有機層を用いれば、基板上に残された粒子や残留物を覆うことができる。だが、有機材料の電荷キャリア移動度は本質的に低いため、有機層を厚くすると駆動電圧が増大する。化学ドーピングによって有機層の電気伝導度を向上させれば、OLEDを厚膜化できるが、電荷移動に起因する新たな吸収帯によって光が吸収されるために発光効率が低下する。有機単結晶でできた厚膜OLEDが実証されているが、大量生産には不向きである。従って、厚膜OLEDを作製する新たな方法が必要であった。今回我々は、キャリア輸送層として有機材料の代わりに有機無機ペロブスカイトであるメチルアンモニウム塩化鉛[CH3NH3PbCl3(MAPbCl3)]を用いることによって、極めて厚いOLEDを作製できることを示す。MAPbCl3膜はキャリア移動度が高く、可視光領域で透明であるため、高い駆動電圧を必要とせず、内部発光量子効率と耐久性の低下を伴わずに、MAPbCl3輸送層の総膜厚を2000 nmにまで増加できた。この膜厚は、従来のOLEDの総膜厚の10倍以上である。今回の知見は、高品質OLEDの生産歩留まり向上に寄与し、レーザー、太陽電池、メモリーデバイス、センサーなどの他の有機デバイスにも適用できる可能性がある。

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