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気候科学:既存のエネルギーインフラからの約束排出量は1.5℃の気候目標の達成を危うくする

Nature 572, 7769 doi: 10.1038/s41586-019-1364-3

全球平均気温を国際的な取り組みが目標とするレベルで安定させるには、人為起源の二酸化炭素(CO2)の正味排出量を今世紀半ば(2050年)までにゼロに近づける必要がある。しかし、化石燃料を燃焼させるエネルギーインフラの継続的拡大は、将来のCO2排出量がすでに「約束」されていることを意味している。今回我々は、2018年における既存の化石燃料のエネルギーインフラの詳細なデータセットを用いて、地域と部門ごとのCO2の約束排出量のパターン、想定される運用寿命や運用計画に対する約束排出量の感度、関連するインフラの経済的価値を見積もった。既存のインフラがこれまでと同様に運用されるとすれば、累積CO2排出量は約658ギガトン(想定される寿命と操業率に応じて226〜1479ギガトンCO2の範囲)に達すると見積もられる。こうした排出量の半分以上が電力部門に由来すると予想されており、中国が全体の41%、米国が9%、EU加盟28か国が7%を占める。提案されている発電所(計画中、認可済、建設中)が建設されれば、さらに約188ギガトンCO2(37〜427ギガトンCO2の範囲)が排出されると思われる。従って、既存のエネルギーインフラと提案されているエネルギーインフラからの約束排出量(約846ギガトンCO2)は、平均気温の上昇を66〜50%の確率で1.5℃に抑える場合の残りの全炭素予算(420〜580ギガトンCO2)を上回っていて、平均気温の上昇を2℃未満に抑える場合の残りの炭素予算(1170〜1500ギガトンCO2)のおそらく3分の2に相当する。残りの炭素予算の見積もりは、さまざまで微妙な違いがあり、気候目標や大規模な負の排出量の利用可能性に依存している。しかしながら、今回の見積もりは、パリ協定の気候目標を満たすには、CO2を排出する新たなインフラを、ほとんどあるいは全く稼働できず、既存のインフラを早期に引退させる(または炭素回収貯留技術を組み込む)必要がある可能性を示唆している。約束排出量1トン当たりの資産価値を考慮すると、CO2を排出しない代替設備が利用可能で費用が手頃なのであれば、電力部門と産業部門における性急なインフラの撤退の費用対効果が最も大きいと、我々は提案する。

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