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生物物理学:H+の輸送はミトコンドリアADP/ATP輸送体に必須の機能である
Nature 571, 7766 doi: 10.1038/s41586-019-1400-3
ミトコンドリアのADP/ATP交換輸送体(AAC)はミトコンドリア内膜の主要な輸送タンパク質である。AACはミトコンドリア内のATPと細胞質ゾルのADPを交換し、細胞のATP産生を制御する。さらに、AACはミトコンドリアの脱共役に関わっていると考えられているが、この機能を実証したり、その機序を解明したりすることは困難と分かっている。今回我々は、マウスのさまざまな組織に由来するミトコンドリア内膜からのAAC電流を直接記録し、ADP/ATP交換とH+の輸送という2種類の異なる輸送方式があることを突き止めた。AACが関わるH+電流には遊離の脂肪酸が必要で、これは褐色脂肪に見られる発熱性の脱共役タンパク質1を介したH+漏出と似ている。AACを介したADP/ATP交換はH+漏出を負に調節するが、完全に阻害することはない。このことは、H+漏出とミトコンドリアの脱共役が、細胞内のATP需要とADP/ATP交換速度によって動的に制御されている可能性を示唆している。AACは、ADP/ATP交換とH+漏出という2つの異なる輸送方式を仲介することにより、ミトコンドリアでの共役したエネルギー変換(ATP産生)と共役していないエネルギー変換(熱産生)とを結び付けている。

